給湯器を10年以上販売して生きているキュウタといいます。
お湯はりしたら、湯量がいつもより少ない!
湯量の設定はさわってないのに。。
こういった問合せをお客さんからよく頂きます。
その原因と自分でできる対処法を説明していきます。
給湯器の仕組み
そもそも基本的なガス給湯器の仕組みが分かっていないと、今日の話はさっぱり分からないと思いますので、簡単に給湯器の構造を説明します。
ガス給湯器は基本、「瞬間式」と呼ばれる燃焼方式をとっています。
簡単に言えば、「お湯をためたりせずに、瞬間的にお湯を作り出している」ということです。
※電気温水器などは貯湯式なので真逆の方式ですね。
お湯が出るまでの流れ
給湯器の内部写真(キュウタ撮影)
参考までに、「循環口からお湯はりをする」ときの仕組みを解説します。
1.「ふろ自動(お湯はり)」のボタンを押す。
2. 給湯器の中に水が流れ、水量センサーが反応します
3.次に炎を燃やすのに必要な空気を取り込むためにファンモータが回り、空気を送ります。
4.次に点火をするためにイグナイターで電気を発生させて点火プラグがスパークします。この4.の動作を行っている場所はバーナーと呼ばれます。
5.最後にガス電磁弁・ガス比例弁が開き、着火します。そのバーナーの上に、缶体(熱交換器)と呼ばれる部材があります。この缶体の中に、細い配管が張り巡らされており、水が通ると、バーナーの熱によって瞬時にお湯に変わります。
6. ここでできるお湯は60℃~70℃くらいの熱湯なので、給湯器の出口あたりで水量サーボによって水をミキシングさせて、設定温度のお湯を作ります。
7. 最後に作ったお湯を設定湯量に合わせて、必要な量だけ出すように注湯電磁弁(ちゅうとうでんじべん)が開いて流量を調節する。
こうやって細かく見ていくと、色々な部品が関わっていることが分かります。
原因①:循環金具のゴミ詰まり
循環金具の写真(キュウタ撮影)
給湯器自体が悪い場合は、注湯電磁弁や循環ポンプの不具合を疑うのですが、実はこの「お湯はり時の湯量が少ない」という症状で、最も多い原因は「循環金具のゴミ詰まり」です。
循環金具とは、浴槽の循環口に設置されている金具のことで、追いだきをしたりお湯はりをする部材です。
お湯はりのとき、給湯器は「お湯を出す→追いだきする」を繰り返し行うことで、設定温度、設定湯量に近づけていきます。
本来なら給湯器のポンプを使って熱いお湯を出して、浴槽にたまったぬるいお湯を吸いこみ、また熱いお湯を出すという動きになります。
しかし、循環金具にごみがたまっていると、ポンプの効果がうすれて、熱いお湯が循環金具付近にたまってしまい、その熱いお湯をまた吸い込んでしまいます。
これは、「ショートサイクル」と呼ばれる現象です。
お湯はりが途中で止まる、追いだきの早切れが起きる最も多い原因の一つです。
まずは循環金具の掃除をしましょう
まずは、循環金具の掃除をしてみましょう。
循環金具は非常に多くのメーカーの商品があるため、全て同じ分解の手順ではないですが、参考までにキュウタの自宅の循環金具を使って説明していきます(ちなみにノーリツのGXシリーズの循環金具です)。
カバーは左に回せば、普通にはずれます。
そこを歯ブラシなどできれいに洗います。
カバーだけでなく、中の仕切板まで外して洗うのがベスト
仕切板の写真(キュウタ撮影)
このカバーを外した後に出てくるのが「仕切板」とよばれる部品です。
板という割には分厚い部品なので、いまいち分かりにくいですよね笑
この仕切板も外して洗ってください。
仕切板を手前に引く写真(キュウタ撮影)
仕切板を外した写真(キュウタ撮影)
メーカーにもよりますが、ビスがついているタイプなら、ビスを全て外して手前に引っ張るだけで外れます。
ここにゴミがたまっていることがほんとうッに多いです!
表面のカバーは見えるところなので、汚れていれば気付きやすいのですが、この仕切板はまず外さない部分です。
それゆえに、お客さんによっては長年の汚れが蓄積されて大変なことになっています。
例えば、風呂の配管クリーニング業者の「N-Clean」さんのサイトに分かりやすい画像があったので引用させてもらいます。
画像は、16年使用の循環金具とのことで、ここまで仕切板が汚れることもあり、髪の毛やごみが大量にたまっています。これではお湯はりが誤作動をおこすのもうなずけます。
この仕切板を歯ブラシ等できれいに掃除をして、さっきとは逆の手順で再度取り付けをしてください。
最後、カバーをはめこむときは向きに注意してください。
循環金具のカバーが正しくはまっていないと、これもお湯はりのバラつきにつながりますので注意してくださいね。
原因②:電装基盤のバグ(水位リセット)
2つ目の原因は、電装基盤のバグです。
これは、フルオートの機種に限定されますが、浴槽の大きさを給湯器の電装基盤で記憶しています。それが何かの拍子(ひょうし)に誤差が生じてしまった可能性があります。
例: 浴槽内に水が入った状態で停電など
この場合、水位リセットを試してみましょう。
まずは、給湯器の品番を確認してみてフルオートの機種かどうかチェックしてみてください。
もしオートタイプではなく、フルオートタイプの機種であれば水位リセットで症状が改善する可能性が高いです。
フルオートの品番の見分け方
•【ノーリツ製の場合】
→GT- 数字+AWX →フルオート
→GT- 数字+SAWX →オート
•【リンナイ製の場合】
→RUF- 数字+AW →フルオート
→RUF- 数字+SAW →オート
•【パロマ製の場合】
→FH- 数字+FAW→フルオート
→FH- 数字+SAW→オート
→FH- 数字+AW→オート
•【パーパス製の場合】
→GX- 数字+ZW→フルオート
→GX- 数字+AW→オート
上記を参考に、ご自宅の給湯器がオートかフルオートか確認してみてください。
ノーリツ・リンナイの水位リセット方法
ノーリツと、リンナイの出筋機種の水位リセット方法(お湯はり試運転)を下記に明記します。
ノーリツ
ノーリツ水位リセット方法(取扱説明書抜粋)
【手順】
運転スイッチ「切」の状態で、「たし湯」と「たし水」ボタンを同時長押しすると、お湯はりの試運転が開始し、完了のメロディが流れたら終了です。
リンナイ
リンナイ水位リセット方法(取扱説明書抜粋)
【手順】
運転スイッチ「入」の状態で、給湯温度の▲ボタンと自動ボタンを同時長押し。浴槽が空の状態で排水栓をして、自動ボタンを押す。お湯はりの試運転が開始し、完了のメロディが流れたら終了です。
この操作はあくまで代表品番の水位リセット方法です。年式や品番によっては、水位リセット方法は異なります。上記操作をしても、お湯はりが開始しない場合は、各機種の取扱説明書を確認してください。
今はネットで取扱説明書が公開されているので、ご自宅で使っている給湯器の品番を確認いただき、検索してみてください。
すぐさま機械の故障だと思わず一度水位リセットを試してみてくださいね。
原因③:給湯器の故障
水位リセットをしても症状が改善しない場合は、お湯張り部品(注湯電磁弁)の不具合か、循環ポンプの不具合が考えられます。
注湯電磁弁の交換は20,000円程度、循環ポンプの交換は30,000円程度が相場です。
ただし、部品の金額は機種によって差があるのと、複数の部品交換が必要な場合には、さらに高額になることがありますので、あくまで参考程度にしてください。
まとめ
【お湯はりの湯量が少ないときの対処法】
•まずは循環金具の掃除をしてみる
•カバーだけでなく、中の仕切板まで外して洗うのがベスト
•フルオートの機種なら、水位リセットをしてみる
•それでもダメならメンテ依頼
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