ガス機器を10年以上販売して生きているキュウタといいます。
最近エコへの意識が高まってきたことで新築・リフォームを検討されている方から、
「エコワンって何?」
と質問される機会も増えてきました。
そこで今日は、次世代型ガス給湯システムである「ハイブリッド給湯器」について説明します。
ハイブリッド給湯器ってどんな仕組み?
ヒートポンプ(エアコンの室外機みたいな機械)で空気中から熱を取り出して、タンクにお湯を貯めつつ、足りない分はバックアップで24号のエコジョーズ(高効率ガス給湯器)が内蔵されているので湯切れの心配がない!という商品です。
エコキュートのデメリットである湯切れのリスクを解消する為に、エコジョーズのメリットである瞬間的にお湯が作れる即効性を掛け合わせた画期的な商品です。
どこのメーカーが扱ってるの?
2021年9月現在、扱っているメーカーはノーリツとリンナイの2社のみです。
元々リンナイが先駆けて2010年に発売。そこから3〜4年遅れてノーリツが発売しています。ハイブリッド給湯器の全国シェアは断然リンナイの方が多いです。
先駆けて市場に導入して採用をとっていった為、知名度も含めてハイブリッド給湯器=リンナイというイメージが定着しています。
ちなみに両社で呼び名が違っていまして、
リンナイ「エコワン」
ノーリツ「ユコアハイブリッド」
というネーミングがついています。
光熱費は安くなるの?
ノーリツカタログ値で従来型給湯器との比較で
年間光熱費が約79,000円削減(約64%削減)
リンナイカタログ値でいくと従来型給湯器との比較で
年間光熱費が約68,000円削減(約60%削減)
→どちらもLPGエリアの料金単価で試算しております
→ただ、それぞれ試算する際の条件が微妙に違うので、この数値だけではどちらが良いか判断はできません。ざっくり、今までのガス給湯器と比べると光熱費が60%くらい落とせるというイメージで良いです。
ハイブリッド給湯器のメリット
①非常時のリスク分散になる
ハイブリッド給湯器は「ヒートポンプ」と「タンクユニット」の大きく2ピースに分かれます。
仮に落雷等でヒートポンプが壊れてもタンクユニットが生きていれば、エコジョーズを内蔵しているのでお湯は普通に使えます。
逆にタンクユニット内のエコジョーズが故障しても、ヒートポンプが生きていればお湯をタンクにためて使うことができます。
②学習機能がある
この「学習機能」が他のガス給湯器にはない次世代型と呼ばれる部分です。
リンナイ:1週間の平均データを元にお客様の生活パターンを記憶。記憶したデータからお湯が必要な時間帯と湯量を予測し、最適なタイミングと量で沸かし上げる。
ノーリツ:曜日や時間ごとにお客様の生活パターンを記憶。記憶したデータからお湯が必要な時間帯と湯量を予測。必要な時に必要な分だけ最適な温度で貯湯してくれます。
普段まったく使わない時間帯にわざわざ高温で貯湯したりはしないんです^ ^
→学習機能に関してはノーリツの方が優位性があります。曜日と時間を記憶できることと、貯湯温度もお客様の生活スタイルに合わせて機械側で判断して決めてくれます。
貯湯温度については下記にも詳しく記載しております。
③給湯圧が高い
エコキュートのような貯湯タイプの給湯器のデメリットとしてあげられるシャワーの圧が弱いといった問題は全くないです。リンナイにしろ、ノーリツにしろ高圧力減圧弁(約4.0kg)を使用しています。
【一般的な3.0kgくらいの水圧のエリアだった場合】
→エコキュートでは減圧弁のせいで1.7kg〜1.9kgの給湯圧しか出せない
→ハイブリッドなら、3.0kgの給湯圧がしっかり出せる
ということになりますね。
シャワーの圧を気にする心配はないので、ご安心ください^ ^
リンナイとノーリツどっちがいいの?
カタログ上の給湯効率の数値でいくと、
リンナイ=年間給湯効率142%
ノーリツ=年間給湯効率141%
「リンナイの方が1%効率が良い!」という数値が出ています。
ただこの数値だけでは判断できないので、シチュエーション別でお話をします。
リンナイは床暖房がある現場におすすめ
理由:ダブルハイブリッドの機種を持っているから。
この「ダブルハイブリッド」があるという点でリンナイは優れています。床暖房にもタンクのお湯を回すことができるため、床暖房は38%光熱費を削減できます。
ノーリツは「シングルハイブリッド」しかない。つまり給湯・お湯はりのみタンクのお湯を使用できます。
給湯・追いだき(暖房なし)ならノーリツがおすすめ
理由:貯湯温度が高く、実質的に使えるタンクの湯量が多いから。
最もタンク容量が大きいシリーズで比較すれば、
・ノーリツ:タンク140L
ですが、実は2社の貯湯温度は異なります。
【貯湯温度】
リンナイ:45℃と50℃の2温度式→リモコンの設定温度により貯湯温度を決めている
※リモコンで設定した温度が高ければ、50℃貯湯。リモコン設定温度が40℃前後であれば45℃での貯湯となります
ノーリツ:46℃〜60℃の可変式→スマート制御による学習機能で1温度刻みで貯湯温度を決めている
※お湯をよく使う時間帯にはたっぷり60℃でためて、使わない時間には低い温度で貯湯する賢い制御が可能です
【出湯可能量】
2社とも最高温度で貯湯している場合において、仮に水温15℃、給湯温度40℃設定時の出湯可能量を計算すると、
ノーリツ:出湯可能量 252L
リンナイ:出湯可能量 224L
以上のような点から、給湯に特化した場合、ノーリツのユコアハイブリッドの方が実質的に使えるタンク湯量は多いです。
※基本的にヒートポンプでお湯を貯める方が圧倒的に光熱費が安く済みます。電気は微量に消費しますが、空気中の熱を使ってゆっくりお湯を貯めているので、エコジョーズの方を使わずに、いかにタンクのお湯を使うか、使えるかが光熱費削減のカギを握っています。
ロウボーイタイプ(3ピースタイプ)はおすすめできない
理由:リンナイの「ロウボーイタイプ」や、ノーリツの「ハイブリッドC」と呼ばれる3ピースのハイブリッドはタンク容量が小さいからです。
【参考】
・ノーリツ=タンク容量70L
タンク容量が小さい=ヒートポンプを使ってお得に貯めれる湯量が少ないということなので、光熱費削減の観点でいえば各社の2ピースのタイプほどのメリットは出ません。
※3ピースの使いどころは、都市部で設置できるスペースが狭く基礎が打てない現場や、分譲マンションのベランダ設置などを想定して作られた商品です。戸建てで2ピースが置けるなら、3ピースを検討する必要はないです。
どんな人にハイブリッドはおすすめ?
結論から言うと、普通の給湯器ではガス代が高くなるご家庭におススメです。
具体的には
●LPガス供給エリアの方
●温水暖房機器が設置されている方
などはハイブリッド設置でしっかりメリットが出ると思います。
今日のまとめ
①LPガスエリアで給湯・追いだきの方
→ノーリツ ユコアハイブリッドがおススメ
②LPガスエリアで温水暖房設置(床暖房等)の方
→リンナイ エコワン(ダブルハイブリッド)がおススメ
③都市ガスエリアで給湯・追いだきの方
→ハイブリッドはおススメしません(エコジョーズで十分だと思います)
④都市ガスエリアで温水暖房設置(床暖房等)の方
→リンナイ エコワン(ダブルハイブリッド)がおススメ
ということになります。
正しく商品を理解し、購入後のミスマッチがないようにじっくりご検討ください。
気になることがありましたらいつでも質問してくださいね。