住宅設備を10年以上販売して生きているキュウタといいます。
最近電気代の値上げとか撤退とかよく聞くよね。。
2016年の電力自由化にともない、多くの会社が電気の小売りを始めました。
この「新電力会社」は、これまでの大手電力とは違い、基本料金をなしにしたり、独自の割引やポイント制度なども用意されています。
電気料金を節約したい人にはとてもありがたい存在ですが、その「新電力会社」がここ数年で撤退・倒産が続いています。
・電力自由化以降に倒産した新電力会社の一覧
・現在受付停止している電力会社
・倒産する新電力の共通点
・倒産しにくい新電力のポイント
では順番にみていきましょう!
1年間で「31社」が撤退
帝国データバンクによれば、2021年4月〜2022年3月までの1年間で倒産した「新電力」は14社でした。前年度は2社だったので、一気に7倍に増えました。
さらに、2021年4月の時点で706社あった「新電力」のうち、倒産も含めて、廃業や撤退した会社が「31社」もありました。
市場にあった「新電力」のうち、4%がたった1年でいなくなってしまったのです。
また営業は続けているものの、新規の契約を受け付けていない会社も増えています。
倒産・撤退した新電力の一覧
2016年4月の電力自由化以降に、倒産・撤退した新電力会社を一覧にしました。
そこに至った理由と抱える問題点について紹介していきます。
日本ロジテック協同組合
2011年の東日本大震災による原子力発電所の停止、2012年7月に始まったFIT制度などを追い風に急成長した新電力会社。
大手電力会社より1~8%も安く電力供給していたため、利益は非常に薄いビジネスでした。
2016年4月に倒産。企業や自治体に向けて電力を販売し、売上高555億円、電気の販売量は新電力の中で当時は業界4位というシェアを誇っていました。
自治体などに低価格で電気を販売する反面、電気の調達コストの上昇により資金繰りが悪化、倒産に至りました。
大東エナジー(大東建託系)
大東エナジー株式会社は、「いい部屋ネット」で有名な大東建託が、管理賃貸物件入居者向けに「いい部屋でんき」というブランドで電気を売るために設立した電力小売事業者。電力自由化が開始された2016年の5月から電力供給を開始しました。
26万件の顧客を抱え、新電力としては5位のシェアがありました。
2017年11月頃から「電気の供給をやめる」旨を顧客にアナウンスし、それからわずか1ヶ月足らずの間に他社に切り替えるよう顧客に「依頼」したため大混乱に陥りました。
2017年夏は気温が予測より高く、7~8月の市場価格は前年より平均2割も上昇。
累積赤字は数億円に上っていたといい、グループ全体の決算に与える影響が拡大する前に家庭用からの撤退を決めました。
福島電力
全国の不動産会社と提携し、引越しの際に入居者に電気を契約させることで急拡大したものの、2018年4月に撤退を表明しました。
シェアは30位、全国に8万件の顧客を抱えていました。
大東エナジーと同様に、1ヶ月弱という短い期間の内に他社に切り替えるよう通知したため、大混乱を招きました。
エレトス電気
同社の営業代理店が関西電力の名を騙った悪質な営業活動をした結果、2019年5月に逮捕され、その直後にエレトス本体が「サービス終了」をアナウンスしました。
終了のアナウンスから約2週間後を契約変更手続きの期限として設定(5月末通知→6月14日期限)しており、不誠実な対応といえます。
あくび電気
あくび電気を運営する「あくびコミュニケーションズ」は、2020年2月末に東京地裁から破産手続開始決定を受けました。
2019年12月は契約者に対し料金の前払いを要求するなど、経営悪化が疑われる行動も見せていました。「グリーンエナジー」を運営していた関連会社の株式会社カステラと共に倒産する運びとなりました。
AGエナジー
2020年3月に再エネ賦課金の「未納」を経産省から公表され、当月中に新電力事業からの撤退を表明。続いて東京地裁より破産手続開始の決定を受け倒産に至りました。
再エネ賦課金の未納問題はありましたが、これまでに倒産した新電力の中では、「きれいな終わり方」をしたように思います。
F-Power
2021年3月に会社更生法の適用を申請し倒産しました。倒産したものの、事業を継続しながらスポンサー企業の下、経営再建を目指しており契約者への電力の供給も継続しています。
自社では発電設備を持たず、電力会社や発電施設のほか日本卸電力取引所(JEPX)から電気を購入して、お客さまに供給していました。
中国政府系の日本GLPをスポンサーとして再建を目指しています。
アンフィニ(ジャパン電力)
2021年9月に民事再生法の適用を申請し倒産しました。
本業である太陽光発電システムの製造事業で価格の下落に見舞われ、続いて2020年末から約1ヶ月にわたり発生した卸電力取引所の取引価格高騰の影響も受けて倒産にいたりました。
その後も電力の供給を含め事業は継続しており、スポンサー企業を選定した上で再建を目指しています。
ホープエナジー
自治体向け情報サービスなどを手掛けているホープ子会社の新電力会社。元々はホープの電力事業だったが2021年1月に発生した電力取引価格高騰を受け業績が悪化。
分社化しその後、2022年3月に破産に至りました。主に法人向けに電力を供給。
ウエスト電力
ウエストホールディングス子会社。電力取引価格高騰の影響を受け2022年4月末で電力小売事業からの撤退を発表。主に法人向けの電力小売事業を展開。
エルピオでんき
2022年4月をもって事業を停止することを発表しました。2021年秋から続く電力取引価格高騰の影響を理由として挙げています。
会社自体は存続しておりプロパンガス、都市ガスなどの事業は継続しています。電気の契約数は推定12万件。
Natureスマート電気
Natureスマート電気を提供するNature株式会社は、2022年4月11日電力小売事業からの撤退を発表しました。
現在契約している方は、2022年5月11日まで(手続きの完了は5月20日まで)に電力会社を切り替える必要があります。
推定契約数は600件。
アンビットエナジージャパン
米国系のアンビットエナジーの日本法人。ネットワークビジネスによる事業拡大が功を奏し、推定59,000件の契約を獲得。電力取引価格高騰の影響を受け2022年5月をもって日本国内での事業から撤退します。
あしたでんき
東電系、出光興産や伊藤忠商事、ドバイ水・電力公社などが出資するTRENDEが提供してた家庭向け新電力サービス。
TRENDE株式会社が「あしたでんき」のサービス停止を2022年4月27日に発表。
供給停止日は6月30日までで、それ以降は無契約の状態となります。
2018年サービス開始と後発ながらも推定契約数36,000件と健闘していたものの、電力取引価格高騰の影響を受けて2022年6月をもってサービス終了に。
ナンワエナジー
2022年5月9日、ナンワエナジーが電力小売事業から同年6月30日に撤退することを発表。九州7県で電力を供給しており、契約者数は約17,000件ほどありました。
ナンワエナジーは、鹿児島県に本社を置く小売電気事業者です。
自社発電所として鹿児島県志布志市に大規模な太陽光発電施設を所有していて、ここで発電した電力を供給源として活用し、不足分は契約した発電所からの供給によってまかなっておりました。
事業撤退の原因は、燃料の不足や国際情勢の悪化などによる電力市場価格の高騰としています。
ナンワエナジーと契約中の方は、2022年6月10日までに他の電力会社へ切り替え、6月17日までに電力の供給開始待ちの状態にする必要があると案内をしています。
熊本電力
熊本電力株式会社は、2022年3月22日に電力の小売事業を停止しました。エネルギー価格の高騰に伴い、電力卸売市場などからの電力調達コストが難しくなったことが停止の原因とのことです。
なお、熊本電力については、同月21日に一般送配電事業者との送電の契約が解除された旨が契約者に伝わっていました。契約者数は10,000件以上ありました。
この停止を受けて、契約者は4月21日までに電力会社を切り替えなければ、無契約の状態になります。
ISエナジー
2022年4月末、ISエナジーが大阪地方裁判所に破産手続きの開始を申し立てました。
同社は「ISでんき」や「ブロードでんき」などの電力小売に加え、「ISガス」というブランドで都市ガスの事業も展開。電力調達価格の高騰により採算が合わなくなり、事業継続が困難になったようです。
2022年に入り資金繰りが悪化し、取引先などへの支払いが遅延する状況にあった同社。4月28日時点では電力小売からの撤退を発表していました。
なお、「ISガス」については関連会社の株式会社インソムニアに移管して継続するとのことです。
ファミリーエナジー
ファミリーエナジーは、2021年8月4日に破産手続きを開始。ファミリーエナジーは1938年にアメリカで創立した親会社を持つ電力小売事業者。2016年12月に日本で合同会社を設立、2017年8月からサービスを開始しました。
2020年12月からつづいた電力市場価格高騰で電源調達費用が上がったことなどが原因とされています。
受付停止の電力会社
今は電気料金の高騰を理由に新電力会社でも新規の電気受付を中止しているところも多数見受けられます。
・ 楽天でんき
・ サステナブルでんき
・ サニックスでんき
・ Looopでんき
・ リミックスでんき
・ シンエナジー
・ 親指でんき
倒産する新電力会社の共通点
①電力事業一本に頼っている
事業停止した新電力会社の多くが電力一本だけで事業展開しています。
一般家庭だと約25~30円の単価で電気を販売しています。普通の仕入れだと約10円ほどで以前は仕入れ可能でしたが、ここ数か月は時間によっては40円前後で仕入れないといけない状況になっており、売れば売るほど赤字になってしまいます。
多くの新電力が今「新規申し込み停止」となっている背景には、今お客さんが増えても、たくさん売ったら売っただけ赤字が出てしまうので、それを避けようという意図があります。
例えば、ガス会社が二つ目の事業として電力事業をやっているのであれば、電力事業が儲かっていなくてもガス事業でカバーできます。
これが電力一本だとそうはいきません。利益が出なければ倒産するしかありません。
②自社発電所が無い新電力が多い
新電力会社の多くが、自社で発電所を持たない会社でした。供給する電力は市場などからの調達に頼っています。
発電所を持たない新電力は、そうした電気の市場価格に採算を大きく左右されるため、経営が不安定になりやすいです。
倒産しにくい新電力のポイント
①電力事業以外に経営の柱となる事業を持っている
これだけ電気の仕入れ値が高くなっている経済状況の中で、電力事業一本では利益が出ません。
・大手ガス会社:東京ガス、大阪ガス
・ガソリンスタンド事業:ENEOS、出光興産
・携帯キャリア:KDDI(au)、ソフトバンク、ドコモ など
電力自由化にともない、上記の会社は核となる事業を持ちながら別部門で電力事業を行っています。
多少の赤字であれば、本業の利益でカバーできます。
電力事業から撤退する可能性はゼロではありませんが、倒産することはまずあり得ないでしょう。
②自社で発電所を持っている
自社で発電所を持っている電力会社は、電気市場の卸売価格に左右されない安定した電力供給ができます。
なので発電所を所有しているから絶対大丈夫というわけではありません。
その証拠にナンワエナジーなど、自社で大規模な太陽光発電施設を持っていても事業撤退するケースもあります。
全国の発電所を保有している電力会社は、下記サイトに分かりやすく一覧が掲示されておりますので、参考にしてください。
すぐに電気が止まることはない
新電力が倒産・撤退してもすぐに電気が止まることはありません。
電気がストップする前に事前に通知がありますので、ご安心ください。
他社への切り替えが必要
すぐに停電することはなくても、撤退が決まっている新電力からの送電はいつか止まります。
送電が停止する前に、大手電力会社なり新電力なりと契約し直す必要があります。
これまで契約していた会社に対しては、新しく契約する会社から解約手続きが行くので、自分で何かする必要は無いです。
下記の記事ではおすめの電気料金の比較サイトを紹介しているので、電気代を節約したい方はぜひこちらを参考にしてください。
まとめ:電力会社の倒産に関するポイント
・〜2022年3月までの1年間で倒産や撤退した「新電力」は31社ある。
・倒産する新電力会社の共通点
①自社発電所がない会社が多い
②電力事業一本に頼っている
・倒産しにくい新電力会社のポイント
①電力事業以外に経営の柱となる事業を持っている
②自社で発電所を持っている
・新電力が倒産・撤退してもすぐに電気が止まることはないが、他社への切り替えが必要
もし自分の契約している電力会社が急に倒産する!となったら不安になりますよね?
倒産しにくい電力会社の特長をおさえて、自分にメリットのある電力会社で契約をして快適な生活をお送りください!
今日の話は以上となります。
気になることがあったら、お問い合わせフォームよりいつでも質問してくださいね。