給湯器の「エラーコード920(930)」の原因と対処法(ノーリツ・リンナイ等)

ガス機器を10年以上販売して生きているキュウタといいます。

リモコンにエラー920が出たけど、どうしたらいいの!?


お客様からたまにいただく質問です。

エラーコード920は、エコジョーズ特有のエラーです。

エコジョーズとは、高効率型ガス給湯器のことです。

従来のガス給湯器と比べるとお湯を作る効率が約80%→約95%までアップしている、現在主流のガス給湯器のことです。

エラー920は、このエコジョーズの仕組みと密接にかかわっています。

詳しく解説していきます。

目次

エコジョーズ(高効率型ガス給湯器」の仕組み

そもそも基本的なガス給湯器の仕組みが分かっていないと、今日の話は「どういうこと?」で終わってしまうので、簡単に説明します。

ガス給湯器は基本、「瞬間式」と呼ばれる燃焼方式をとっています。

簡単に言えば、「お湯をためたりせずに、瞬間的にお湯を作り出している」ということです。

※電気温水器などは貯湯式なので真逆の方式ですね。

エコジョーズでお湯をつくる流れ

エコジョーズの内部写真

参考までに、エコジョーズがお湯を作るときの仕組みを解説します。

1.蛇口を開けると、給湯器の中に水が流れ水量センサーが反応します。

2.次に炎を燃やすための空気を取り込むためにファンモータが回り、空気を送ります。

3.次に点火をするためにイグナイターで電気を発生させて点火プラグがスパークします。

4.ガス電磁弁ガス比例弁が開き、着火します。この4.の動作を行っている場所をバーナーと呼びます。

5.バーナーの上に、一次熱交換器(缶体)があります。ここは細い配管が張り巡らされており、水が通ると、バーナーの熱によって瞬時にお湯をつくる場所です。

6.(エコジョーズの場合)一次熱交換器の上にニ次熱交換器を搭載。約200℃の排気熱を利用してお湯を温め直しています。

7.ニ次熱交換器を温めることで、排気温度が約200℃→約50℃まで下がります。温度が下がることで、排気に含まれていた成分が液体(結露水)となって流れ出します。

8.この結露水は強酸性の有毒な水なので、一旦中和器の中に入ります。

9.中和器には炭酸カルシウムがたっぷり入っているので、結露水が水道水に近い「中性」の状態にして屋外へ排出されます。

エラー920は中和器の寿命警告のエラー

エラー920は、中和器の寿命を知らせる警告エラーです。

このエラーは、中和器交換をしないと解消されません。

中和器内の炭酸カルシウムは少しずつ消耗していくので、燃焼時間で寿命を管理しています。

メーカーや機種によって異なりますが、おおむね燃焼時間が約13,000時間を超えたときに、このエラー920が出ます。

1日3時間お湯を使うような施設でも約12年かかる計算です。

一般家庭であれば、これだけの燃焼時間にいくには20年以上かかりますから、おもに業務用の施設で見られるエラーです。

使い続けるとエラー930に変わる

エラー920は、中和器が故障したわけではなく、中和器の寿命警告エラーなので、しばらくは使えます。

ただし、このまま放っておくと給湯能力が制限されます

安全のためにシャワーのお湯もチョロチョロしか出なくなります。

それでもさらに50時間以上使い続けると、今度はエラー930が出ます。

エラー930は中和器の寿命告知のエラーです。

給湯器にロックがかかりお湯がまったく出なくなります。

メーカー依頼時の修理費用

基本的には、中和器の交換をすれば解消されるエラーです。

修理費用は機種にもよりますが、下記の金額が目安となります。

部品代 4,000円〜7,500円
出張費 3,000円〜3,500円
工賃  約5,000円

合計 12,000円〜16,000円

4~5万円を超えるような高額修理にはまずなりませんので、ご安心ください。

まとめ

・エラー920は中和器の寿命警告のエラー
・エラー930は中和器の寿命告知機器が停止します

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今日の話は以上となります。

気になることがあったら、いつでも質問してくださいね。

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この記事を書いた人

一部上場のガスメーカーに勤める30代営業マン。2児の父。これまでガス機器を10,000台以上販売。その経験を活かし、ブログで日常生活のタメになる情報を発信中。

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